そう、だから今日も、淡い想いが口中を満たすんだコノヤロー

季節はすっかり秋だけれど、僕はまだ歯医者に通っている。
最近は月に一回程度。

こないだ行ったら、医者から、
「奥歯が当たることで、舌の側面が傷ついているから、当たらないよう気をつけてね」と言われた。
医者が言うには、舌が傷ついてるのをそのままにしておくと、
色々と厄介なことになって、最もひどいとガンになってしまうとかとか。
当たらないよう、いずれ歯の処置もするけど、まずは自分で当たらないようにしてみてとのこと。
なるほど気をつけねば、と思ってみたものの、そうなってから、
今まで気にもしていなかった「舌の置き所」が気になりだしてしまった。
普段生活してて、口の中で舌をどうしてるかなんて、意識しない。
しかし一度気にしてしまうと、あれ? 舌って口の中でどう収納してたんだっけ?
わかんなくなってしまった。
奥歯に当たらないようにと考えれば考えるほど、置き所がよくわからない。
自然な置き場所ってどこだ?
ん? ん? と思いながら、口の中で舌を転がす。
よけいに歯に当たってるような気がする。ん?

それはまるで淡い恋愛みたい。
「○○ちゃんが、中塚くんのこと、気にしてたよ」
そんな友人のいたずらなひとことから、世界の見え方が急に変わる。
今まで気にならなかったあの人を意識して、ドキドキする。
今まで自然に話せていたのに、どうやって話していたかわからなくなる。
そのうち、寝ても覚めても、ご飯食べてるときも、ずっと頭から離れない。
「気になられて気になっちゃった」パターン。
平静を装いながら、話しかけて、ちょっとギクシャクしちゃったり。
意識しだしてから、目が合う回数が増えた気がしてきたり。
あ~いいな~ テンプレートのような淡さと甘酸っぱさ。

僕個人でいうと、これはだいたい勘違いのパターンが大半なものだ。
すげー目が合う! って思ってても、こっちが見すぎてたっていうオチだったり。

でも今は、勘違いなんかじゃないって確信してる。


あいつ(奥歯)、俺(舌に)のこと絶対好き(当たってる)だぜ。

実際、奥歯が舌に当たってちょっと痛いのも、まるで想いが実らなくて胸が痛む恋愛みたい☆
傷つけるとかなんとか言ってる辺りも、ちょっと恋愛っぽいし☆
などと言っている間にも、奥歯が当たりかけているので、
僕は今日も舌の置きどころという、見えないゴールを求めて彷徨い続けるのだ…。

無意識下の物事、もしくは見ていなかった物事に、ふいにスポットライトが当たったとき、
ついつい冷静さを失ってしまう。いざというときでも落ち着き払って対処する余裕が欲しい。
達観は、数百万光年の彼方。


ちなみに僕は、歯医者での襲撃シーンがエグいという評判から、
北野武監督「アウトレイジ」を、いまだ見れないでいる。
だって歯医者が怖くなったら嫌じゃないか! コノヤロー!


でも「ビヨンド」も見たいので、意を決してそろそろ見ようかとも、思ってます。

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