実録! 本当にあったような怖いような話。 「午前6時の訪問者」

ピンポーン、ピンポーン。

玄関のチャイムの音がする。
時間は朝6時40分。ど平日の朝。いつも起きる時間まではまだ1時間以上はある。
こんな時間にチャイムが鳴るなんて、珍しいこともあるな~、と、半分眠った頭でベッドから立ち上がる。そして寝ぼけつつも、玄関の手前にあるインターホンのモニターをのぞき込む。

ややや。
誰も写っていない。
画面には、玄関前の様子が写されているだけ。肝心の人が写っていない。
誰であろう、ボタンをプッシュした人が、だ。

カメラの死角に人がいるのかな?
と思い、モニターの前を離れ、そろりとドアを開けてみる。
いい天気だ。外は春の訪れを完全に感じさせる爽やかな空気に満ちている。
「チュンチュン」。あ、おはようスズメさん。
そしてやはり人は誰もいない。

あれ? ひょっとして僕が寝ぼけてただけで、チャイムは夢だったのかな?
一瞬そう思ったが、モニターはインターホンが押されると、連動して外の様子が写るようになっている。何もなしにモニターがつくことはない。
僕は特にモニターに触れてはいないので、つまりインターホンは間違いなく押されたのだ。

ピンポンダッシュかな…。
しかし、僕は寝ぼけてたとはいえ、チャイムの音がして割とすぐにモニターを見た。誰かがダッシュで去っていく様子は写ってなかったし、足音もしなかった。もしピンポンダッシュしたなら、かなり身体能力が高い人物か……しかし何だか腑に落ちない。

ここで「これは “人ならぬ何か” による現象では?」という疑念もチラッと頭をよぎった。
けれど、信じたくないのでそれはすぐにひっこめた(怖いからね)。

きっとスズメさんだ。スズメさんが、僕を起こしに来てくれたんだ。
そう思いながら、ベッドに戻り、再び僕は眠りについた。


その翌日のこと。

ピンポーン、ピンポーン。
またもや僕の眠りを打ち砕くチャイムの音。時間は朝6時30分くらい。
昨日と同じような時間だ。勘弁してくれ~。と、誰に対してでもなくつぶやきながら、起き上がり、またもやトタトタと歩いてモニターをのぞき込む。

ややや。
そこに写っていたのは、昨日と同じ、朝の爽やかな光景。
またしても人は写っていなかったのである。

いやいやいや。2日連続って。そんなことってあるか。もしもイタズラならこんな時間にやるなんてかなり悪質だし、ちょっとどうかしている。
えーとこういうときはどうしたらいいんだろう。警察。いやとりあえず大家さんか不動産屋か。何にしてもいろいろ説明できるようにしとかなければいけない。とりあえず玄関周りの様子を確認だ。

そう思った僕が、玄関の方に踏み出そうとしたその瞬間、

ピンポーン、ピンポーン。

僕が見ているモニターには誰も写っていないまま、またもやチャイムの音が鳴らされた。

ゾワゾワッと全身に鳥肌が立ったような感覚が走る。

「えっ」と小さく口にして、僕の思考は一瞬止まる。
誰もいないのに、押されたインターホン。
認めたくはないけれど、これはもう、そういう現象っていうことなのか……?

確認のため、玄関のドアを開ける。やはり誰もいない。

「人ならぬ何か」
そういう現象のことを、テレビや本で見たり読んだり、または人から聞いたりして、うすぼんやりと、「そういう存在っているのかもな」とは思っていたけれど、こうして目の前でそれらしきことが起こって初めて、本当にうすぼんやりとしか思っていなかったのだなと気づかされる。
僕はこのとき、その「何か」の存在を強く感じた。

しかし、他人に起きた話ならいざ知らず、自分に起こる話は信じたくはない(という心理が働いた)。
僕はとりあえずベッドに戻り、スマートホンを駆使して「インターホン 勝手に鳴る」「インターホン 誤作動」などを検索。今度は機械のせいにしてみることにした。あとスズメさんの線も忘れてないからね。

検索してみると、知恵袋的なサイトで相談している人がけっこういて、世の中では誰もいないのにインターホンが鳴ってるものなんだなと気づかされる。ああ、同志よ。私も一緒だ。共に戦おうぞ。
不審者やピンポンダッシュだと回答する人も多いが、「配線の不具合です」とか「結露などで誤作動することもあります」といった回答に、つい反応してしまう。
質問者も、そういった回答にベストアンサーをつけがちみたいだ。

原因が「人ならぬ何か」なのはもってのほかだし、人が原因だったとしても、サイコなアレだったらむしろそっちの方が怖いパターンだってある。
その点、機械の故障は誰も傷つかないし、原因がハッキリしている。直っちゃうもん。
機械故障説についたベストアンサーは、質問者の機械故障を「信じたい」という強い気持ちだ。そして僕もそう。機械の故障だと思っていれば、心穏やかに暮らしていける。スピリチュアルな事象やサイコだったりクライムなこととは無縁だ。
僕は「電気系統の腐食で誤作動している可能性があります」と書かれた回答を、そっと心の中でベストアンサーにしたのだった。


とりあえず故障説を推すことにした僕は、あとで大家さんに連絡しようと決めた。
そして1時間ちょっと後くらいに、モヤモヤッとした気分のまま、いつも通りに家を出た。

出がけに、「故障を疑うのなら念のため確認しておこう」と思い、インターホンを見てみた。
外から見ても、変わったところはない。
ここで僕は、ふと何となく、インターホンの本体を軽くポンッと叩いてみた。これは、機械がダメになったときにファミコン世代が取りがちな行動のひとつなので大した意味はない。しかし、

ピンポーン、ピンポーン。

えーっ鳴った!
試しにもう一回叩いてみる。

ピンポーン、ピンポーン。
またしても鳴った!

ほんの軽~く本体に触ってみても、またピンポーンと鳴った。

えー何でだ? と、よくよく見てみると、ボタンが半押しくらいの状態のところでめり込んでいる。
どうやらこのせいで、ちょっとの刺激ですぐにチャイムが鳴るようになっていたらしい。

おそらくは、宅配の人か誰かが、うちのインターホンを押したときに何でかうまくボタンが元に戻らず、そのままになっていたっぽい。僕がググッとボタンを押し込むと、ボタンはスッと元に戻り、今度は本体を叩いても触っても鳴らなくなった。やった…解決だ!

いろいろと疑ってはみたものの、結果を知ってしまえばあっけないもので。
たまたま同じような時間に続いたけれど、恐らくは、僕が家にいない間にも何かの刺激で鳴っていたかもしれない。

「実は人ならぬ何かがチャイムを押したから半押し状態になってたんじゃないか?」
という疑念もなくもないかもしれなくもない。本当にスズメさんが押してたのかもしれない。
可能性は無限大だ!
しかし、疑っていてもキリはない。
機械故障説を推したさっきと違って、今度は、少なくとも自分で叩いて結果が得られた(ような気がした)ので、これでスッと良しとすることができた。伝わらないかもしれないけれど、「つかみ取った感」が全身に満ちたのだった。
(ただ、心のどこかで、そういった現象を体験し逃してしまった、という気持ちもちょっとあった。でも怖いからこれでいい)

ぜひ、誰もいないのにインターホンが鳴ったときの参考にしてほしいです。
ただそれが、必ずしも、僕と同じようなことが原因だ、とは言い切れないけれど…。
(と、変な雰囲気を出して終える)


こういう「人ならぬ何か」っぽい現象を体験して、実は違った!っていう経験は、これで2度目だけれど、その話を書くとまた長くなるので、ライヴのときにでも話しかけて聞いてください!
と、ここからうまく宣伝につなごう。

◎ ライブその1 ◎

2016年4月10日(日)

@下北沢THREE

toddle presents『riddle vol.15』
出演:
toddle
Hello Hawk

DJ:Soriyama (the fictional map)
OPEN/START 18:00〜
ADV/DOOR 2300円/2500円(+1drink)


みんな大好きtoddle先輩との実に4年ぶりの2マンライヴ!




◎ ライブその2 ◎

2016年5月7日(土)
@下北沢Shelter

bed “via nowhere” Release Show

出演
bed
malegoat
Hello Hawk

OPEN/START 18:30/19:00
ADV/DOOR 2000/2500円(+1drink)

傑作4thアルバム “via nowhere” のリリースツアー東京編!
Bed、malegoatと3マンって、盟友との対バン、という感じがしてとてもアツい気持ちになるなあ。




ぜひ来てください!


中塚


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